今年創立14年目を迎える株式会社ベネクスと共に
リカバリーウェアを世に届けてきたVENEXSHOP。

インターネットでVENEXの商品を売り始めた当初は
まだ日本であまり知られていませんでした。
しかし、様々なスポーツ選手や著名人が着用していることで徐々に口コミが広まり、
今では世界中で売られるようになりました。

昨年「睡眠負債」が話題になるなど、
人々の「睡眠」や「休養」に対する意識も高まっています。
VENEXを取り巻く環境も大きく変わってきた今、
株式会社ベネクスの中村社長にVENEXというブランドについて
改めてインタビューしました。

VENEXSHOP店長の渡辺健太郎が、
なぜVENEXが誕生したのか、
リカバリーウェアのテクノロジーはどのようなものか、
海外でのリカバリーウェアに対する反応など、
VENEXをお客様に販売する立場から掘り下げて聞くことができました。

これまでリカバリーウェアをご利用頂いている方や、
これからリカバリーウェアをご利用頂く方へ
詳しくお伝えできれば幸いです。

 

VENEX リカバリーウェア

 

ベネクスの「理念」と「ビジョン」

――
まずベネクスの理念について教えてください。
中村
はい。まずベネクスでは「理念」ともうひとつ「ビジョン」というものがあります。
――
「理念」と「ビジョン」は違うものですか?
中村

「ビジョン」は我々がずっと追い求めるもの、理想的な未来です。

対して「理念」は人間でいえば生き方のポリシーのようなものと考えています。

「私たちは世界のリカバリー市場を創造し、そこに関わる全ての人を元気にします」これがベネクスの目指す未来であり「ビジョン」です。

そして「理念」は「非常識への挑戦 常識にとらわれない自由な発想で社会に貢献し続けます」です。

――
「非常識への挑戦」ですか…。理念として非常に強いですよね。
中村

はい。この理念を決めるときには社内でも物議を醸し出しました。

ですが、決してネガティブな意味ではなく、ポジティブな意味でこのような理念にしています。

ベンチャーで世界のリカバリー市場を創造しようとしているので、その時点で良い意味で非常識ですからね。

普通のことをしていては、いつまでたってもビジョンに到達できないと思っています。楽しみながら非常識に挑戦してきたいです。

株式会社ベネクス 中村社長

リカバリーウェアを作り出した理由

――
色々なところで聞かれていると思いますが、今一度リカバリーウェアを開発した経緯を教えて下さい。
中村

学生時代から将来は自ら事業をしようと決めていました。

しかし、大学3年生になっても何をやるかもあいまいで、そのときに事業とは何なのだろう?と考えました。

世の中が求めることに応えていくことこそ事業の本質だろうとシンプルな結論に至り、介護関係の会社に3年間だけ勤めさせて頂くことになりました。

――
最初は介護関係の仕事からスタートされたのですね。
中村

ちょうど介護保険制度が出来て、民間事業者の新規参入が増えていたころで、介護のニーズはあるけれど業界自体はまだまだこれからというタイミングでした。

ですから、世の中が何を求めていて、それに対してどう価値提供していくのかというプロセスを、実体験として得られると考えました。

結局2年半ほど勤めた後にベネクスを創業しました。

――
創業して最初は何から始められたのですか?
中村

創業当初は床ずれ防止用ベッドパットを販売していました。

世の中に対して大きな影響を与えていきたいと考えたときに、もの新たな価値を作るメーカーをやるべきだと考え、他にはない商品の開発に取り組みました。

――
ベッドパットを販売していたのですね。床ずれ防止に焦点を当てた理由は何でしょうか?
中村

介護の現場で床ずれ防止のニーズは多くありましたが、それを解消するものがなかったのです。このニーズに応えることができれば大きな事業になると思ったのです。

当時は体圧分散などで床ずれへの刺激を減らそうとする商品もありました。

しかし、お年寄りの方は代謝が良くないため、外からの刺激を減らしても根本的な問題を解決しないと意味がないと思い、人間の身体に良い影響を及ぼすものはないかと考えました。

そこで調査を続けているうちに、糸に機能性を持たせることができるということを知り、新素材を開発することにしました。

――
その素材が、現在のリカバリーウェアの基礎になっているということですね。
中村

はい。最初からプラチナに焦点を当てていたわけではなく、床ずれを防止するためには抗菌などの効果をねらった銀イオンなどの素材もありました。

繊維に練り込むための金属の微粒子を扱っていそうな会社を手当たり次第に調査し始めたのが、リカバリーウェアの素材開発の最初の取り組みです。

PHTマスターバッチ
ナノ化プラチナなどの鉱物を練りこんだマスターバッチ。
PHTポリエステルフィラメント糸元になる素材。

大手企業ではナノプラチナの糸を作ってもらえなかった

中村
糸にナノプラチナのような変わったものを練り込むということで、最初は大手企業さんでは相手にしてもらえませんでしたね。
――
ロット数も最初は少ないですよね。どのようにして素材を作ることができたのですか?
中村

中小規模で糸を作っているような工場さんに何軒も出向き、お願いしました。

そこからナノプラチナなどの素材を練り込んだ糸の試作に取り組みました。

工場さんも私もはじめてのことですから、最初はなかなか糸にならずに苦労しましたが、条件を変えて何回も繰り返し試作することでようやく開発することができました。

その素材がリカバリーウェアに使われているPHT繊維です。

PHTポリエステルフィラメント
PHTマスターバッチを練りこんだ、
世界でたったひとつのベネクスオリジナルのフィラメント糸。

PHT(プラチナハーモナイズドテクノロジー)について

――
PHT(ナノプラチナなどの鉱物を繊維1本1本に練り込んで作ったベネクス独自の特殊素材)に関する論文を出したり、特許をとり始めたのはいつ頃ですか?
中村

ナノ素材の開発会社と素材の共同研究スタートが2005年12月、素材から繊維を開発したのが2006~7年で、実証研究は素材が出来上がった2007年から現在もずっととり続けています。

最初はリカバリーウェアではなく、床ずれ防止ベッドパットに使用していました。

展示会などにも出展していましたが、あまり反響はありませんでした。そこで、このナノプラチナなどを練り込んだPHT糸を使ったウェアを試作として開発し始め、床ずれ防止ベッドパットと一緒に展示していました。

――
そのウェアも床ずれ防止用として開発したのでしょうか?
中村

いえ、ウェアはどちらかといえば介護ヘルパーさんに向けて作りました。

介護のヘルパーさんは肉体労働で大変で、離職される方も多いので、PHT素材のウェアを着て頂くことで疲労を回復してほしいと思い、ウェアという形式にしました。

当時販売していた床ずれ防止ベッドパット

なぜ「神奈川県」なのか

――
ベネクスが神奈川県や厚木市にこだわる理由を教えて下さい。
中村

仕事の効率だけ考えれば、東京も良い場所だと思います。

ですが、皆が東京に集まっていて、人間としての生活が本当に良いものなのか?人が多すぎるところで働いているのは本当に幸せなのか?という疑問がありました。

――
東京に集まるのが本当に良いことなのか、ということですね。
中村

はい。例えば、VENEXも進出しているドイツですと、郊外の住宅街などにオフィスがあることも多く、自分が住んでいる街や好きな街で働くという文化があります。

会社も個人も本当に東京に集まらなければいけないのでしょうか。私はそれぞれの場所でそれぞれ居たほうが良いのではないかと考えています。

同じところに集まるとどんどんと同質化し、エッジもなくなり、世の中がつまらなくなっていくと私は感じています。画一的でなくそれぞれ個性があったほうが世の中おもしろくないですか?

――
確かに個性は大切ですよね。
中村

厚木は、東京からいらっしゃった方は会社の窓から山が見えることに驚かれます。富士山も見えますよ。

――
なるほど。自然が多く富士山が見えつつ、個性が出しやすくビジネスができる環境ということですね。
中村
はい。必要があれば都内へすぐ行けますし、新宿まで50分程度です。

VENEX本社がある神奈川県厚木市

日本製にこだわる理由

――
ベネクスの製品は全て日本国内で作っているんですよね?
中村
はい、ヨーロッパ向けの製品は一部EU圏内で製造しているものもありますが、基本的に全て国内で製造しています。
――
国内での生産にこだわる理由は何ですか?
中村

理由の1つは、変わったものを作っているということです。

海外の工場は大量生産には適していますが、PHTのような特殊な素材を編むのにトラブルが発生する可能性があります。

――
PHTって編むの難しいんですよね。
中村

はい。編み機の針が折れたりします。

PHTの繊維を顕微鏡で見ると、細かい鉱物が繊維の表面に飛び出ているため、針に鉱物が擦れて摩耗が激しいです。

なので、編んでいる機械の針を頻繁に取り替える必要があります。

――
そして縫製も難しいらしいですね。
中村

そうです。実はベネクスの製品って変なところにカーブが多いんですよ。着心地を考えるとこのカーブが必要なのですが、このカーブを縫うのが難しいんです。

それに加えて、VENEXの生地はとても伸縮性があります。

最もカンタンなのは、伸びない生地をまっすぐ縫うことなんですが、逆にいえば伸びる生地をカーブして縫うのが非常に難しいんです。

このような拘りを海外の工場に依頼することは品質管理を含めて難しいため、基本的に日本で製造をしております。

VENEXリカバリーウェアの縫製部

海外進出について

――
海外はどちらに進出していますか?
中村
ドイツ、韓国、中国、台湾ですね。
――
海外での評判はどうですか?
中村
上々ですね。中国でベネクスのリカバリーウェアを知って、日本に来た際に新宿の店舗などで購入されるお客様もいらっしゃいます。
――
ドイツはスポーツ大国というのもありますよね。
中村

はい。ドイツで開催されている世界最大級のスポーツ用品の見本市「ISPO(イスポ)」での新商品コンテストにて、日本企業ではじめて金賞を受賞したこともあり、売上は上々です。

最近ではドイツの水泳やアイスホッケーのナショナルチームの公式サプライヤーになったことも追い風です。

――
店舗などもあるのでしょうか?
中村
ありますよ。例えば台湾の太平洋SOGO天母店ですとか、ドイツではマンハイムの最新商業施設内に直営店があります。各地で店舗を展開しています。
――
海外に進出した理由はどのようなものでしょうか?
中村

ベネクスのビジョン「世界のリカバリー市場を創造する」という部分に基づいていますね。

周りからは、「日本でもっと知名度が高まってから海外進出したほうが良いのでは?」と言われることもありますが、そういった考え方はしていないです。

海外に出たら出たで認知されていきますし、日本で広まるまで待ってから出たのでは遅すぎる可能性もある。これだけ情報が早い時代ですからね。


ドイツ-マンハイム VENEX店舗

今後伸ばしていきたい技術について

――
今後ベネクスで伸ばしていきたい技術は何ですか?
中村

1つはリカバリーウェアというものは我々が作ったものなので、まだまだ改良の余地があると思っています。

オンタイム(活動中)で着る服は、今まで色々な企業が研究開発してきたので、今ではとても着心地の良いものが出ていますよね。

しかし、休養中に着る服に関しては、どう縫ったら良いのかや、どんな布がいいのかという部分をもっと研究できると感じています。

そういったことは、我々がパイオニアとしてどんどん革新させていかなければという想いがあります。

――
オフタイムで着る服を、より世界的に発展させていきたいということですね。
中村

はい。もう1つは、コア技術であるPHT(ナノプラチナ素材)をさらに良いものにしていきたいですね。

これまでPHTに関するエビデンスを蓄積し続けていて、どうすればもっと良くなるかという部分が見えてきているので、さらに良いものを開発していけると考えています。

VENEXリカバリーウェア

中長期的に実現したいこと

――
ここまで色々と聴かせて頂きありがとうございました。最後に、中長期的に実現していきたいことがあれば教えて下さい。
中村
2020年までに売上20億円という目標を立てています。
――
現在、弊社(株式会社ヤン)でVENEXSHOPを運営し、ECサイト(通販サイト)をお手伝いさせて頂いてます。インターネットを介したマーケティングについてはどうお考えですか?
中村

インターネットに力を入れていきたいというのはありますね。

「リカバリーウェア」は新しいカテゴリですが、最近ではほとんどの人がネット通販でも新しいものを購入されます。

株式会社ヤンと弊社で8年間ECサイトを運営してきましたが、まだまだ知られていないリカバリーウェアを、いかに良いものかという部分でお客様にお伝えしていければと考えています。

そういった部分でインターネットにはこれからも力を入れていきたいですね。

――
そうですよね。これからもリカバリーウェアの良さを一緒に広めていけるように頑張ります。本日はありがとうございました!
中村
こちらこそありがとうございました。引き続きよろしくお願い致します!

左: 渡邊 健太郎 (株式会社ヤン代表取締役社長)
右: 中村 太一 (株式会社ベネクス代表取締役社長)
2018年04月04日株式会社ヤン前にて

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